……いまなんて言った?
「ごめん。……もう1回言ってくれる?」
「何度でも言いますよ。
姐さんのことが欲しくて口説いてます」
「欲しいってどういう意味?」
「好きです」
「な、っ……」
ちょ、待っ……! 「好き」……!?
何がどういう意味で、「好き」なの……!?
「冗談……でしょ?」
「本気ですけど?」
まわりにみんなもいるのに、まるでわたしたちふたりだけ切り取られたように。
何も気にせずわたしを見るさおの視線がまっすぐで、頭の中がぐらぐらする。
「この間も言いましたよね。
俺なら一途だって。手の甲へのキスだって、まさか俺が冗談であんなことすると思ってるんですか?」
あんなにギャラリーがいる場所で、と。
付け足す彼に、いまさら羞恥心が湧き上がってきて、顔が赤く染まる。……なら、彼の、行動は。
「あなたが霧夏に俺を連れてきてくれた時から、ずっと好きです。
……女の人としてみてます。だめですか?」
ずっとわたしを好きだって感情に基づいた行動だったわけで。
言われてみれば分かりやすいかもしれないその行動を思い返すと、変にドキドキしてくる。



