遠慮の無い暴言を吐いているというのに、彼はけらけらと笑うだけ。
本当にもうやめればいいのに。
「何かあるならちゃんと顔出すって」
「……今日にでも暴動起きないかな」
「そんな運良く暴動は起きません」
知ってるけど。
「明日風邪ひいて学校休もうかな」って言ってるヤツが風邪ひくなんてありえないのと同じ論理だと思うけど。
「……律儀だねえ。
別にお前は関係ねえんだから、行かなきゃいーのに」
「それであんたが行くようになるならね」
堂々巡り。
何度も同じ会話にもどるけれど、彼は平然としてスマホをいじってる。その態度も腹立たしい。
「……わたしそろそろ霧夏に顔だしてくる。
せっかく始業式だけで学校終わってるのに、こんなところで無駄話してるのもったいない」
そもそもなんでここで話してたんだっけ。
ああそうだ、衣沙が大事な話があるって言ってわたしを引き止めたんだった。
……まあ大事な話なんてなかったけど。
「なるみ」
めずらしく。
名前で呼ばれて、とっさに部屋を出ようとした足を止める。振り返ったけれど、やっぱり衣沙の視線の先はスマホだった。
「……いや、やっぱ、いいわ」



