いまさら申し訳なさそうに言うから、ふっと笑う。
のんびりしているからか、徐々に店の中に多数いたはずの同じ制服は減っていって。
「……そろそろ出る?」
「うん」
なるみがパフェを食べ終えてから問うと、彼女はこくんとうなずく。
このあとどうしようかなと考えながら、席を立って会計を済ませたあと。店を出たところで、なるみは、つっと俺の服を引いた。
「ごめん衣沙、わたし結構食べたから……」
「ん?いーよ。奢ってやるって言ったじゃん」
っていうか何そのかわいい引き止め方。
男ゴコロをくすぐられるんですけど。
「いや、でも……」
「いいから素直に甘えてな」
俺は端から払わせる気なんてなかったし。
これ以上なるみが何か言ってこないようにそう言いくるめれば、彼女は「……ありがと」と笑顔を見せてくれる。それだけで、十分だ。
「どういたしまして。
さて。時間あるし、どっか寄ってく?」
「うーん……とくにないけど。
女の子と遊ぶ約束断っちゃったんでしょ?なら、映画のDVDでも借りてからウチ来る?」
相手が俺だから良いものの、安易に家に男を入れるべきじゃない。
……とか言ったって、どうせ「衣沙だから大丈夫」なんて思ってそうだし。
たしなめるのはあきらめて、「じゃあそうしよ」と返す、とある日の午後。
……俺となるみの距離は、まだ昔と変わらず並行なままらしい。