なんて思っていれば、ふいに周囲がざわめく。
なんだと顔を上げると、ざわめく周囲の中を颯爽と歩いてくる男がひとり。
「……、ツキじゃん」
「ほんとだ。 さおー、おはよう」
ひらひら。
手を振るなるみに気づいたツキが、歩み寄ってくる。それから「おはようございます」と綺麗に微笑んだツキに、上がる女子の悲鳴。
……なるほど。
もうすでに女子のハートを射止めてるわけか。
「おはようツキ」
にっこり。
笑みを見せてわざとらしくなるみとつないだ手を持ち上げれば、ツキの視線がそれを一瞬捉える。
「おはようございます、衣沙さん」
「初っ端からモテモテだな〜」
「いえ、衣沙さんほどじゃないですよ」
にこりと笑うツキと俺の間で、ばちばちと火花が上がるけれど。
そんなことには気づかない鈍感なお姫様は、「そんなことないわよね」と俺に同意を求めてくる。
「さお、すごくかっこいいもの」
あーあーあー。この天然たらしめ。
ツキも嬉しそうな顔してんじゃねえよ。
「ふふ、ありがとうございます。
姐さんにそう言われるのが一番うれしいです」



