わしゃわしゃと頭を撫でたら、「ちょっと」と文句を言いながらも素直に撫でられているなるせ。

……なるみの反応とかぶるな。さすが姉弟。



「お利口なんじゃなくて衣那兄たちが間違ってんだからね?

たぶん俺の方が普通だよ?」



「衣沙。なるせはいま"タイミングがない"って言っただけだよ。

タイミングがあるなら一体どうする気なんだろうね?」



「ちょ、いちいち言葉のあやを指摘するのやめてくれない?

そんなつもりじゃないから。タイミングがあったとしても絶対そんなことしないって」



「うわー、なるせが焦ってんのレア〜。

そんなことするつもりはないけど、そういう気がないわけじゃねえだろ?」



「っ、めんどくさい兄弟だな……!」



なるせに言われなくても、俺だってそう思ってる。

面倒な兄弟だ。心底。基本的に俺も兄貴もなるせも、誰かをネタにして揶揄おうとしてるから悪いんだと思うけど。




「いいじゃんどうせ男しかいないんだし。

男に下心はつきものだよ、なるせ」



「うっわ、

一番行いの良くない衣那兄に言われたくない」



「え、俺より衣沙じゃない?

最近まで遊びまくってたのは衣沙だよ?」



「さっきの満月ちゃんの一件で、

俺は兄貴が常識人じゃないことを理解した」



「どっちにしろツートップはふたりなんだからどうでもいいよ。

っていうかさ、衣沙兄、お願いだから姉ちゃんとそういう関係になっても俺に言わないでよ?」



「そういう関係って?」



「だから、男女のかん……、ん?」