肩に顔をうずめてくるから、ミストパーマをあてた黒髪がわたしの首筋にそっと触れる。

左腕を衣沙の背中にまわして、右手でよしよしと頭を撫でてあげると、衣沙の腕の力は強くなった。



「……いつから知ってたの?」



「俺も、聞いたのは3日前ぐらい。

俺が家にいないこと多いから、その間に兄貴と満月ちゃんで挨拶に来てたらしい。……この間兄貴から電話掛かってきて、直接聞いた」



「……そう」



「『なるちゃんにも直接連絡する』って言ってたけど、俺から伝えとくって言った。

……嫌だろ、兄貴から直接聞くの」



「……うん」



顔をうずめたまま、衣沙がわたしの背中をぽんぽんと叩く。

どちらが慰めているのかわからないこの状況が、わたしと衣沙にとっては凄く心地良くて。




「なるみ、だいじょうぶ?」



「平気よ」



放った声に、動揺は混ざらない。

……当たり前、だ。



「なるちゃんすぐ無理するから、

つらかったら俺にちゃんと言えよ〜?」



「うん、ありがとう」



結婚することには驚いたけど、ショックじゃなかった。

純粋に、わたしはそれを受け入れられる。何のためらいも切なさもなく、「おめでとう」って言ってあげられる。



だって、本当は、わたし。