「……なるほどな」



そう考えたら、話はすごく簡単だと思う。

散々俺は揶揄われてるけど、そのネタってそもそも、自分たちも同じようなことを思ったからで。



「兄貴さ。

実は満月ちゃんにすげえはやく手出しただろ?」



「……ん? ごめん、聞こえなかった」



「嘘つけ聞こえただろ。

俺にそうやって聞くってことは、兄貴こそ満月ちゃんのこと数ヶ月も待ってないんじゃねえの?」



「……さあ。想像に任せるよ」



すっげえ怪しいじゃん。

あれ、でも、兄貴が満月ちゃんと付き合ったのって中3じゃなかったっけ?んで、満月ちゃんって兄貴の2つ年下だから……あ、れ?




「がっつり素行不良じゃねえか」



「衣那兄って元ヤンだからね」



「そうだったわ。つい忘れるんだよな」



関東西の不良チームの元トップと現トップが兄弟で。

その幼なじみは中学の生徒会長をつとめてるって、真面目なんだか不真面目なんだか分かんねえ関係性だな。



「念のため聞いとくけど、なるせは彼女に……」



「手なんか出してるわけないでしょ。

ウチには基本的にいつも母さんいるし、むしろそんなタイミングいつあるの」



「お前はほんとお利口だな。偉いわ」