女装したらとんでもなく美人になると思う。
でもなるみとは雰囲気が違うんだよな〜、あきらかに。
「衣沙兄が告ったらしいじゃん。
俺てっきり姉ちゃんが言ったんだと思ってたよ」
「俺がめちゃくちゃヘタレだと思われてたの?
それともなるみがめちゃくちゃ男前だと思われてたの?」
「……さあ?」
だめだ。なるせも完全に兄貴に影響されてる。
俺の名誉のために嘘でもいいから後者だって言って欲しかった。……あれ?どっちみち俺が情けないのバレバレじゃね?
「俺に彼氏の威厳ってないんじゃ……」
……そもそも彼氏の威厳ってなんだっけ?
たぶんなるみもすっかり忘れてるだろうけど、俺が彼氏彼女って関係を結ぶのはなるみがはじめてだ。ほかの余計な経験は豊富だけども。
「ま、ちゃんと言えてよかったじゃん」
「……なるせ、
それは年上に向けて言うセリフじゃねえと思う」
「彼氏の威厳どころか年上の威厳もないよ」
「ちょ、お前最近ほんと兄貴に似てきたな……!」
その口の悪さとタチの悪さをどうにかしてほしい。
もし自分の子どもが生まれたりしたら、その子どもに口と性格の悪さが受け継がれないようにしてほしい。……ん?
俺となるみが付き合ったってことは、何か問題でもない限りは、俺と結婚するってことだよな?
イコール、いつかなるみが俺との子どもを産む可能性もあるってこと、で。
「なるみに似た子どもなんて絶対天使じゃん」



