「わぁ、すごい。

これふたりでつくったんですか……?」



「うん、衣沙とつくったの。

……衣沙って基本的に器用よね」



みいちゃんが、海から上がってきたかと思えば、俺となるみで作った砂の城を褒めてくれる。

クオリティはそこそこ。案外できるもんだな。



「衣沙兄ってさ。

付き合うまで散々ヘタレなのに、付き合ってからめちゃくちゃいい彼氏だよね」



「あり、がとう……?」



なんか微妙に喜べないけど。

ヘタレだったのも一応訳あってのことだけどな。あれから何気に改善したんだよ。先に告ったのも俺だったし。……嫌な予感がしたから先手打っただけだけど。



満月ちゃんと兄貴がいま、海の家までお昼に食べられるもの買いに行ってくれてる。

なるせとみいちゃんは、砂浜にまで戻ってきてくれたし。




「なるみ、ちょっと波打ち際歩こうか」



「うん」



荷物番をふたりに任せ、水道で一度手を洗ってからなるみと歩く。

「体調大丈夫?」って聞いたら、すっかり遊ぶので頭がいっぱいだったようで、満面の笑みでうなずいてくれた。……表情も、さっきより余裕あるな。



「思ってたより水が生ぬるい……」



「こんだけ暑かったらな。

……サンダル脱いで裸足で歩く?」



「うん、そうする」



途中でサンダルを脱いで掴んだなるみと、空いてる手を繋いで。

のんびり歩くけど、本当に太陽がジリジリと熱い。