「ってか、俺自己紹介してないんだけど。

目黒 衣沙です。……えーっと、これが俺の兄貴で、こっちが俺の彼女ね」



「はじめまして、山下みいです。

なるせくんと、同じ中学に通っていて……」



「ん、なるせも俺の弟みたいなもんだから。

っていうかみんな兄妹みたいなもんだし、気遣わず楽しんで」



「めずらしくしっかりしたこと言ってるね、衣沙」



失礼な。……っていうか「はじめまして」の挨拶をしていないところを見ると、みいちゃんと兄貴は面識あるんだな。

あれ、でもさっき満月ちゃんと挨拶してなかったっけ。



「今回ほら、一泊の旅行でしょ?

みいちゃん中学生だから、なるせが衣那くんに彼女を紹介して、そのあと3人でみいちゃんのご両親に挨拶に行ったみたいよ」



お泊まりの許可をもらいに、と。

車に乗ってから、なるみがこそっと教えてくれた。




……なるほど、だから面識あるのか。

兄貴、そういうとこはしっかりしてるもんな。



「……そういや、なるみの両親ってさ」



「うん?」



「俺のことどれぐらい信頼してるんだろうな」



今回だって、普通に許可もらってるみたいだけど。

なるせがいなくても、間違いなく許可をもらえる自信がある。……でも娘とふたりで泊まり、なんて、普通は許可できねえよな。



付き合ってること……は、知ってるはずだけど。



「……? 普通に信頼してると思うけど?」