「うん……してきた」



「似合ってるよ。かわいい」



おかげでメイクにハマってるなるみは、最近ますます可愛くなってる。

校則がゆるいから学校にメイク道具を持ち込んで女の子たちに教えてもらってるみたいだし。



おかげで野郎共がまたなるみのことを狙ってるけど、まあ、渡す気はねえよな。

ちゃんと付き合ってからは、1回も喧嘩してない。



俺の溺愛度が急上昇しまくってるせいで、「遊んでた目黒衣沙はどこ行った?」って言われるレベルだ。

あとその遊んでた目黒衣沙のことは忘れてください。俺の黒歴史だから。



「はいはい、おふたりさん。

イチャつくのはいいけど、ふたりの世界に入らない」



巻いてきたらしい髪にくるくると指を巻きつけて遊んでいたら、車に荷物を積んでいた兄貴が降りてきていて。

言われて顔をあげると、なるせの彼女が顔を赤くして俺らのやり取りを見ていた。




「……すげえ純情そう」



「みー。

とりあえずあの人には近づかないようにしてね。あんまり近づくと食われるよ」



「食わねえからやめて。

あと仮にも自分の姉ちゃんの彼氏なんだからそういうこと言わないで、俺傷つく」



「みいちゃん、

衣沙には近づかない方がいいと思うの」



「ちょっとなるみ!?」



「あんまり近づくと、

わたしが勝手にみいちゃんに妬いちゃうから」



あ、だめだ、倒れそう。明らかに熱中症じゃない別の理由で、体温が上がってる気がする。

「バカップル……」ってつぶやいてるなるせの極寒の視線と足して割ってちょうどいいぐらいだよ。