【完】姐さん！！

ってことは、つまり。

わたしのせいで、東西は因縁の関係なんて言われてるの……？



「まあ、元はといえばストーカーを引き受けた俺の兄が悪い。

だから、自業自得といえばそうだけど」



「………」



「俺と兄の関係をまったく切り離すことはできないよ。

きみと、俺の兄が因縁をつくった原因なんだし」



教えてもらってなかったんだね、と。

はじめくんはまた冷静に告げるけど、はじめに彼が言った通り、きっと衣那くんはこの話を完璧に隠し通そうとしてくれたんだろう。



「じゃあ、

あのとき荒れてた俺が兄貴に本気で怒られたのって……」



「さあ？

そこまでは知らないけど、もうすでに自分の連絡で霧夏が動いてるから、余計なことはするなっていう意味だったんじゃないの？」




……だとしたら、あまりにも衣那くんは優しすぎる。

わたしの問題なんだから、わざわざ自分がすでに引退した霧夏に連絡を入れてまで、どうにかしようなんて思わなくてもいいのに。



「……それでも、」



落とした一言が、静かにたまり場に広がる。



「もう関係ないよ」



「……そう？　案外気楽なんだね」



「だって、今も昔も何も変わらないもの」



もう、鼓動が乱れたりすることもない。

最初はおどろいたけど、もう涙があふれてくることだってない。……それも、ぜんぶ。