「もともと霧夏と冬霞に因縁なんてものはなかった。

だから、ただこの地区を東西に分けてそれぞれチーム化しただけだったんだけど」



「………」



「俺の兄も俺と同じで冬霞の人間で。

その冬霞の人間がストーカーしたのが、偶然、霧夏のメンバーの幼なじみだった」



そこまでは別に問題じゃなかったんだ、と。

はじめくんは、あきれたようにため息をつく。



「元々兄貴は東に通えなくて西中に通ってたからね。

もちろんストーカー自体許されることじゃないけど、それでも霧夏の人間に接する回数は少なくなかったから。……でもね、運が悪かったんだ」



霧夏の周囲の人間と関わることが多いから、偶然狙われた相手が霧夏のメンバーの関係者だった、なんてこともありえなくはない。

それはわたしにも理解出来る。



そして先輩のことは、

いまもまだ、どうしていいのかわからないけど。




「運が悪かった?」



「……その女の子は、もちろんきみのこと。

そしてその子は、霧夏の元トップの幼なじみだった」



「………」



「当然、元トップは自分たちのチームを動かすよね。

……自分の大事な幼なじみで、自分の弟が誰よりも大事にしてる女の子のことを、傷つけられたんだから」



それって、つまり……



「霧夏の、ひとつ前のトップかな。

彼はその前のトップから連絡を受けて、霧夏と冬霞が喧嘩した。……その原因は、もう言わなくてもわかってるよね?」



「わたしが……

ストーカー、されたから……?」