だってって何だ。

なるみのその言葉の意味を噛み砕けなくて探るように瞳を見れば、彼女はふわりと笑う。



「衣沙が、ここのトップに立って1年のお祝い」



「……は?」



「しようと思ってたんだけど、ほら、衣沙なかなか来なかったでしょう?

本当はお花見のときにでもやるつもりだったんだけど、メンバーがうまく集まらなかったから、後日やろうってことになって」



「………」



「でもほら、間違いなくたまり場に来るってわかってる日じゃないと祝えないじゃない?

だから、わたしの誕生日にデートの約束してくれたのを……逆に使ったっていうか」



ってことは、なに?

最初っから、これを目的で仕込んでたってこと?なるみをわざわざデート前に拉致ったのもこのため?




「サプライズにしたかったので、

表向きは姐さんの誕生日って名目ですけど」



「ほんとはね、衣沙のお祝いも一緒なの」



愛されてるね、って。

なるみにそう言われても、全然実感が湧かない、俺がここに来るのは月に2回とか、内面事情に関わるにしてはあまりにも少ない回数で。



だからこそ、責められてもおかしくない立場だってことは、理解してる。

歴代のトップでもここまで放任してるのは、俺ぐらいだから。……なのに、そんなの。



「……、さんきゅ」



「あ、泣かないでくださいね。面倒なので」



「泣いてねえわ。

お前のせいで余計に涙なんか出てこねえわ」