思い出したように、手に持っていた財布からなにか取り出すツキ。
渡されるままに受け取れば、『カップル限定パフェ300円引き』の文字。……クーポン?
「カップルじゃなくても、衣沙さんと姐さんが一緒に行けば進展するんじゃないかって、彼女が。
……まあ、渡す前に付き合っちゃったんで、せっかくなのでデートにどうぞ」
「……お前らカップル、
ちょっとなるみのこと好きすぎじゃない?」
彼女の方は中学時代になるみのこと大好きだったのを見てたから、知ってるけど。
こいつもなるみに連れられて霧夏に入ってるから、なるみに対して何かと甘いんだよな。
「それに。
そろそろ、姐さんの誕生日ですよね」
「そうだよ。
去年は霧夏のメンツで祝ったんだろ?」
俺は別の日にプレゼント渡しただけで、祝ったその場にはいなかったけど。
……今年も、休みとかぶってんだよな~。
「今年も祝う気なんじゃないですか?
ほら、実質霧夏のトップって姐さん、」
「じゃなくて俺な。
それっぽい感じになってるだけでほんとは俺な」
「……ああ、そうでしたっけ」
「お前相変わらず性格悪いな」
なるみの前では猫かぶってるくせに……
それもあって、余計になるみに本気だって騙されたわ。彼女がいるなんて予想外すぎるだろ。
「付き合ったって言えば……
さすがに今年は引いてくれると思いますよ?」
「そうだな。
今年はなるみの誕生日、ふたりで過ごすわ」



