先に言っておく。

なるみは世界一かわいいって、俺は本気で思ってる。



「ねえ、衣沙」



くいくい、と。

俺とつないだ手を軽く引くなるみに視線を向ける。何もしてなくてもかわいすぎて、ほんとにひとりで歩かせたくねえもんな。誘拐とかされたりしねえか不安だもんな。



「昨日朝起きたらおはようより先に、なるせから『おめでと』って言われたんだけど……

もしかしてわざわざ付き合ったこと言ったの?」



「嫌だった?」



「べつにそうじゃないけど……」



ちょっと恥ずかしかった、って。

視線を逸らすなるみ。……ああもうかわいい。




「あのあと、衣那くんと満月ちゃんからも連絡あったし……

みんなちょっと大袈裟すぎない……?」



「……俺がずっとなるみのこと好きだったって、

みんな知ってるからなんじゃねえの?」



流兄にも一応連絡したけど、なるみのこと好きなんだっけ?って思うくらいあっさり「おめでとう」って言われたし。

「むしろなんで付き合ってないんだろうと思ってたよ」とお馴染みのセリフまで言われた。



「……もう、なんなの?

一昨日はフリーズしてたくせに平然としちゃって。びっくりするぐらい照れないし」



「振り切れただけだよ。

自分の気持ち隠すこともなくなったし、なるみの気持ちも分かってるから。……まあ、若干、いまだに浮かれてるけど」



合法的になるみに「好き」と「かわいい」を言えるこの世界しあわせすぎない?

って、なるせに言ったらドン引きされたけど。



今の俺はそんなことじゃ折れません。