【完】姐さん!!




だからといって、ほかの男に取られるのも困る。

何度も何度もそうやって同じことばっかり考えて、毎回答えは出ないままに終わる。



「っていうかお前ら入学したときには粟田と付き合ってたよな?

もう1年過ぎたんだろ?仲良いよなあ」



「俺となるみだから」って言えば、ノロケてんなよって笑われたけど。

ひとつ言えるのは、1年経ったところで俺となるみの関係は何も変わってないってことだ。こうやってまた俺の片想いの期間が伸びていくだけ。



「1年付き合ったら相当だよなー。

……でもお前が遊んでたから、粟田とめちゃくちゃイチャついてるイメージはねえわ」



「ふたりきりのときにイチャついてんの」



「きゃー、衣沙くんのえっちー」



「見事に棒読みじゃねえか」




実際はふたりきりでも何もしてねえよ。

キスすらしてない。……昨日、しちゃったけど。



「ああああああ……」



ほんと、何やってんの俺。

なるみがどれだけ大事に守ってきたのか知ってんじゃん。なんでそんな安易にキスできたんだよ昨日の俺。一瞬の気の迷いって怖い。……っていうかそもそも、流兄、が。



「最悪……」



長く地元を離れてるから、なるみがキスひとつ大事にとってることを知らなかったのはわかる。

仕方ないって言われたら仕方ないことだと思う。俺だってなるみぐらい美人ならキスの1回や2回、済ませてるって勝手に思い込むと思う。



だけど。

だけど実際は、あんなに大切に、してて。



「……なー。目黒ー」