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「無事に買えてよかったね」
「うん。
ふふっ……喜んでくれるといいなぁ」
抱えた紙袋が、かさかさと音を立てる。
結局、流くんが言ってくれた通りお祝いの品はワイングラスになった。でも人数が増えたことと流くんが成人していることもあって、グラスだけじゃなくてワインも添えた。
若干。……若干、流くんが多く払ってくれて。
とつぜん誘ったのにごめんねと謝れば、「俺も満月のこと祝いたかったし。というか俺はもう働いてるし」と優しく頭を撫でてくれた。
太っ腹です、流くん。
……いつか社会人になったらお返ししなくては。
「さてと。
じゃあ、衣沙のこと送っていくか」
ワイングラスとワインを選び、百貨店の中にあるカフェで軽くお茶したあと。
地下にある食品フロアをふらっと見て回っていたら、たしかにいい時間になっていて。
「俺ひとりでも行けるけど……」
「でも面倒だろ?
せっかく車あるんだから送ってやるよ」
「どうも。
……なるみ、荷物持つの変わろうか?」
衣沙にたずねられて、ふるふると首を横に振る。
ワインはなるせが持ってくれているけど、グラスはわたしの腕の中。落としちゃ大変だけど、重くはないから平気だ。
「あ、でもこれ渡すとき流くんいないわよね?」
「頃合いみて適当に渡してくれるんだろ?
じゃあ、俺も一緒に、って伝言しといて」
流兄の言葉に「もちろん」とこくこく頷いたら、手の中からさっと紙袋が消える。
それは彼が持ってくれたからで、聞かなくても自然に変わってくれるその優しさが、なんというか大人だ。



