「電車だと移動も大変だろー?

俺が運転してやるから車移動なー」



「うわあ、流兄の運転とか不安しかない」



「なるせ、そういうのは思ってても言わない。

相手にいい顔しとくのは社会人の基本だぞ」



いや俺まだ学生だし……って顔をしてるなるせ。

ひさしぶりのやり取りに思わず頬がゆるむ。車を近くのコインパーキングに停めてくれてるから、流くんの隣に並んでそこへと向かう。



「流くん、営業のお仕事してるんだよね?」



「そーそー。

まあ疲れるけど、俺人と関わんのすげえ好きだからさ。いい人に巡り会えた時は、この仕事やってて良かったなあって思うよ」



人を疑うことを知らなくて、自然とみんなが集まってくるような明るい流くん。

お仕事でもそれが活かされてるんだろうな、と思う。




「それにさ。

やっぱなるみに会うとすげー元気出る」



「へ……?」



「お前やっぱかわいーなー」



わしゃわしゃ頭を撫でながらそんなことを言う流くん。

まっすぐな流くんだからその言葉に嘘がないって知ってるせいで、なんていうか、照れる。



「もー……流くんはずかしい。

わたし高2だよ? 子ども扱いしすぎだよ?」



「俺にとって満月となるみはいつまで経ってもかわいーよ。

なるせと衣沙もかわいいけど!」



なんなら衣那も!なんて言う流くんに、思わず笑ってしまう。

みんなのこと大好きでいてくれて、みんなのお兄ちゃんみたいだ。何年経っても、変わってない。