そんな私たちに、時間は待ってはくれない。
何も答えが出せなくても、何故か警察の言うことには従ってくる母親がいる。





「親御さん到着したぞ」






前みたいに宮城の声が聞こえた。






「わかりました」





素早く答える瞬だが、顔は沈んでいる。
このまま、瞬にもう一度、さらってもらいたい。でも、それをしてしまえば、瞬まで捕まっちゃうか。





「真白」





瞬は、不安は拭えないが、真っ直ぐとした瞳で私を見つめる。






「逃げれるなら、逃げて」






囁くような小さな声。
それでも、私の心に響いてくる。






そして、目が合うと、不安でも、信頼できる瞳でうなずいてくれた。






そうだ、私も不安がってはいられない。
問題は自分で切り抜けなければいけないんだから。






「わかったよ」






私も、瞬に強い決意をした瞳で頷き、そして、私たちは母親が待つ入り口へ向かった。






10日ぶりに会う母親。








相変わらず、そばにはあいつを連れている。






でも、私は母親のもとには帰らないんだ。