「なんか、先週会ったみたいだよ?」





先週はデートだけでも四人はいた。




誰の顔も覚えていない。





そもそも興味がない、一度きりのデートで会ってるんだし、内容も薄っぺらい時間のことは、頭の中から勝手に削除される。






「ぜーんぜん、覚えてないわ」





「流石、オシロは本当人の顔覚えてないよね」





ジョージが新しいタバコをくわえたのをみると、マドカはすぐにジッポの火を付けタバコに近づけた。





まるで、キャバ嬢だ。





「まあ、いいや。で、どこ行けばいい?」





私は渡された紙を受け取ると、すぐにその場から出て行った。






少しでも早く、こんな錆びついた場所から出ていきたい。






こんな錆びついた生活にも…





でも、ハマってしまえば、抜け出す方法はなくなる。





このジョージとマドカの縁も切れないように、傷ついても切らせてもらえない。





それは、私の親子関係にも似ているかもしれない。