私たちの幸せを砕く魔の手が、刻々と近づいていた。





「娘が帰ってこないんです」






そう言って近くの派出所に訪れたのは、母とあいつだった。





その対応をしたのは宮城だ。






「浅井さんですよね。こちらへどうぞ」





宮城は不審そうに二人を見ながら、話しを聞き調書を書く。






「それが、今日家に帰って来た時、こちらでお会いした若いお巡りさんを彼が見たそうで…」





そう話す母に、宮城は固まる。





そして、その横であいつは勝ち誇った笑みを浮かべていた。





「真白ちゃんを引き止めようとしたら、彼が僕を突き飛ばして、真白ちゃんの手を引っ張って出て行ってしまったんです」






突き飛ばしたと言えば、傷害の容疑もでてくる。