私たちはいつのまにか眠っていた。




二人で住んでいても、こうやって二人で眠るのは初めてだった。






こんなに心地よく誰かと寝れる日が来るなんて、今までずっと幸せを感じ続けることなんてなかったから、夢を見ているようだった。






でも、隣にいる瞬の頬に触れると、温かくてこれが現実なんだと感じる。





「もう少しだけ」





私は二度寝すると、ケータイの目覚ましが鳴るまで寝続けた。






愛する喜びなんて、くさい言葉の意味も、幻想だと思っていた。





でも、それは、私が人として与えられる幸せから遠ざかっていたからだったんだ。






出逢うべき人に出会えたら、眠っていた本当の素直な自分を知ることになる。






ねえ、お願い私からこの時間を奪わないで






人より愛を知らなかった私に、もっと愛を教えてください。






そんな私の願いは、儚くて泡沫のように、消え去ってしまうんだ。