「どうして…」





消えてしまいそうなほど、か細い瞬の声。抱きしめている腕が少し震えていた。





「瞬ちゃん?」





「どうして君は、僕の心をすぐ乱すんだ…。ずっと、表にださないようにしていたのに…なのに、好きだなんて…」





瞬の腕が少し緩み、私の両腕を今度は掴み、私の顔を見る。





「僕も、本当のことを言わないとね」







そういって、切ない表情のまま口元だけ微笑む。






「初めて会った時から、放って置けなかった。ずっと、気になってて、気づいたら自分が…警察官としてではなく、森岡瞬として真白を救いたかった」






瞬の言葉に、今まで感じたことのない喜びを肌で感じる。





心の鉛が溶けていくような、ずっともやがかった道を歩いていたところに、光が射すような、言葉にするには難しい、感じたことのない感覚。






「瞬ちゃん」






「僕も真白が好きだよ。きっと出会ったあの瞬間から」






瞬の言葉に、私と瞬はどちらともなく、顔を近づけてキスをした。





初めて本当に好きな人と唇を重ねる。





心の鎧が熱で溶かされていくみたいに、今まで感じたことのない至福な気分になった。