歪な光

母親の呼ぶ声に、振り向くこともせずに、ただ私は今の大切な居場所へ走って行く。





ここだけは失いたくないんだ。






大切な人が迎え入れてくれた場所。







走り去る私を見送った母たちは、ようやく宮城たちの存在に気付き、ばつが悪そうに会釈する。






「家庭のことはとやかく言えませんが、真白さんはまだ高校生で、精神的にも子供と大人の狭間で悩みやすい時期です。ちゃんと向き合ってあげてください」







宮城はそういうと、中へ入って行く。
瞬も慌てて一礼して、宮城の後を追った。






「ありゃ、かなり深い溝があるな」






追いついた瞬に、宮城はそう呟いた。
そんなこと、前から分かっていたはずだ。でも、結局他人の家族に警察は無断で、立ち入ることなんて出来ない。





「そんな家族に、僕たちは何をしてあげれるんでしょうか?」






崩れて行く家庭を、分かっていても何もできない。その結果、マドカみたいな最悪の結果を迎えてしまう事もある。






味方でいてくれるはずの家族が、自分たちにとって、恐怖的な存在なんて、経験している人にしかわからない。





血の繋がりが抗えないために、縛られる自由。





自分が大人になるまで、逃げ切れない場所で、殺されずにいるだけましだというのだろうか?