そんな白くんの右手に、あたしが渡した戦隊モノのカードが握り締められていて、少し安心した。
「おれ、そんなのいらねーからな!」
「白くん、甘いの好きでしょう? お母さんが買ってくれたんだから、一緒に食べようよ」
「うるせえ! だれがぶりっ子おんなたちとたべるかよ!」
そのまま靴を脱いで、二階へ逃げていく白くんを見つめると、桃が困ったように笑った。
「…とりあえず、私たちは先に食べよう?」
冷たい指先があたしの手に触れた。
一度頷いて家に上がらせてもらうと、そのままリビングへ向かう。
二階へ視線を向けても、白くんの姿が見えなくて、胸の中にもやっとしたものが溢れた。