「おはようございます」
「おはよ。あいつらならまだ寝てんぞ。
夕陽だけはさっきマネージャーが迎えに来て仕事行ったけど」
「あ、そうなんですね」
ちゃんと仕事に間に合ってくれてるならよかった。
どうやら夕陽が家を出るのに合わせて彼は強制的に起こされたようで、なんとなくまだ眠そうだけれど。
「南々瀬ちゃん、昨日に比べて今日は顔色……というより、表情が明るいな。
……いつみとなんかいいことでもあった?」
いつみも機嫌良いし、と。
付け加えた先輩を見て、思わず苦笑する。どうやらわたしたちの間柄で、夕帆先輩に嘘はつけないらしい。
……まあ、そうよね。
その些細な変化に気づくことができるってことは、彼は将来いつみの優秀な右腕となるんだろう。もう既に優秀な右腕だとは思うけど。
「色々、と、ありました。
……あ、夕帆先輩、"リナさん"のこと、ご存知なんですよね?」
「リナ……?
何、いつみお前、リナに南々瀬ちゃんのこと紹介する気になったの?」
「んなわけあるかよ。
あいつがクソややこしい連絡寄越してきたせいで南々瀬に誤解されたから、仕方なく話しただけだ。会わせる気はねえよ」
「とか言って。
女装趣味があるだけで実際はハイスペックな男だから、南々瀬ちゃんのこと取られるんじゃないかって心配してるんだろ?」
「分かったいまからお前がはじめて女装した時の悲惨な写真をいくみに送、」
「悪かったからマジでやめろ」
……うん、今日も仲良しですね。



