それでも健気に応えようとする姿が愛らしくて、優しく頰を撫でた。

……自制心なんて、とっくに吹っ飛んでる。



部屋の空気は濃い甘さを湛えて、彼女が上げる声で何度も何度も歪に割れる。

細かく細かく割れて、粉々に散って。



「ん……」



南々瀬がぐったりした時には、そこはかとない穏やかな甘さだけが残っていた。

汗の滴が残る額に、口づけを落とせば。



「くちびる、も……」



「ああ、」



求められて。

「愛してる」と最上級の告白を添えてから、くちびるに触れた。




いつも求めている間は平気なのに、終わってしまえば張り詰めていた糸が緩んでしまうらしい。

乱れたその場を軽く直し、ようやく俺が隣に入ったときには。



「……眠いか?」



「ん、ちょっと……」



もう既にうつらうつらとしている南々瀬に、小さく笑う。

抱き寄せると、素直に腕の中におさまった。



「ホットミルク……

せっかく作ってくれたのに、リビングに置きっぱなしにしちゃってる……」



「ホットミルクぐらいいつでも作ってやるよ。

明日の朝にでも、用意してやる」



料理はできない……というか、しない俺でも、それぐらいなら作ってやれる。

翌朝の約束を交わせば南々瀬は嬉しそうにうなずいて、静かにまぶたを閉ざした。