【完】こちら王宮学園生徒会執行部




毎回「美味い」って言ってくれるし。

彼は好き嫌いがないから、普通に食べてくれる。



それなりに料理はできる方だから、わたしも美味しいと言ってもらえない料理を出す気はない。

だけどなんていうか、癖なんだと思う。



自分のつくった料理を自分で食べることはあっても、食べてもらうことなんてなかった。

だから自然と、相手の表情を窺ってしまうというか。



「……まあ。

お前は色々と、気が進まない性格らしいからな」



「……?」



「言ってもなかなか直らない」



敬語とか呼び方とか、と。

覚えのあることを言われて、思わず苦笑する。




彼の言う通りだ。

敬語を使わずに話せるようになるまで時間がかかったし、呼び方はいまだに"いつみ先輩"のまま。



「限界のおねだりのときしか、

お前は俺のこと名前で呼ばねえからな」



なんだか拗ねるような言い方をする先輩を、じっと見つめる。

その拗ねたような表情はかわいいけど。かわいいけれど。



え? いまこの人なんて言った?

"限界のおねだりのときしか"……?



「っ……!!」



ばっと、頬が熱を上げる。

いやまって、何言ってるのこの人……っ!



わたしが彼を名前で呼ぶ時は、いつも確かに"そのとき"だけだ。

キスより深い、ふたりだけの夜の時間。しかも呼ぶというよりは理性を溶かされてタガが外れたために浮かされたように名前しか口に出来ない、が正解に近い。