……それ、あんまり良くないんじゃねえの。

南々ちゃんが基本的には笑顔で過ごしている分、そういう話を聞くと、どうも不安になってしまう。



「ひとまず、あいつからできるだけ目を離さないようにしておいてくれればいい。

……それ以降のことは、俺がなんとかする」



「……無理すんなよ?」



「してねえよ。

……悪いな、お前らまで巻き込んで」



そんな顔しなくて良いのに。

むしろ俺らは、あの時彼女をひとりでなんとか救ってしまったいっちゃんがこうやって話してくれるようになって、すこし安心してる。



それくらい大きな話であることは確かで。

頼ってもらったからって、ハイ解決……って、わけにはいかないけど。



それでも、少なからず力になれれば良い。




「泊まっていくだろ?

さすがに、お前らでもこんな時間から帰せねえしな」



「あー、いいわ、いつみ。

コイツらどうせ素直には寝ないだろうし、俺ん家連れてく。だからいつみは、南々瀬ちゃんのそばにいてあげればいいって」



な?と、夕さんは有無を言わせない顔で俺らを見る。

まあ南々ちゃんにもゆっくり休んで欲しいし、それに異論はないけど。



「んじゃあ行くぞ、ヤロウ共。

いつみ、そこらのお菓子だけもらってくからな」



「……ああ」



夕さんに促されて、「お邪魔しました」と家を出る。

振り返った先でもう一度「悪いな」と謝ったいっちゃんに、なんとなく喉の奥が詰まるような思いがして。



首を横に振って、「また遊びに来る」と言った俺に、いっちゃんはふっと笑ってくれたけど。

きっと、全員の表情が、どこかぎこちなかった。