言えば、いつみ先輩も夕帆先輩も穏やかに笑ってくれる。

それから「そうしてやって」と、夕帆先輩は優しく言ったのだけれど。



「でもあいつ仕事できるのに料理はマジで壊滅的だから、頑張って南々瀬ちゃん。

俺といつみはもう諦めた。壊滅的すぎて」



なぜかとても不穏な匂いがする。

……そこまで壊滅的を念押しすることってある?



「念のため聞きますけど……

あの、何が壊滅的なのかな、とか……」



意外と不器用なのかもしれないけど。

でもさすがに、全く何もできないってことは……



「マジな話、おにぎりも作れないレベル」



全然あった……!!

どうしよう予想以上に基本的なところ……!!




「ちょっと待って、

おにぎりって幼稚園児でも作れるよね?」



信じられない、という顔をしている夕陽。

あ、違う。夕陽以外のメンバーもそんな顔だ。



「偶然おにぎりだけ作れないとか、

そういうことではなくて、ですか……?」



「ななせ、なんとか受け入れようとしてるのはすごくわかるけど、顔ひきつってるよ……」



ルアにそう言われるけど、どうしようもない。

だってまさか、そこまでできないとは思わなかったんだもの……!



「基本的に大雑把なんだよ。

面倒だからって段階を端折ろうとするから、その省いた分のツケが後で回ってくる。調味料を目分量で入れたりな」



ああ……なるほど……

でもそれって、逆にちゃんとすれば出来るようになるんじゃ……