え、いくみさんとふたりで実家に住んでたの?
でもいくみさんって今職員寮に住んで……ああ、そうか。3年前だと彼女はまだ大学生か。
「じゃあ、料理はいくみさんが、」
「いや。……あいつは壊滅的に料理できねえぞ」
「………」
え、壊滅的?
"料理できない"はまだしも、"壊滅的"……?
「じゃあ誰が作ってたの?
まさか毎日出来合いのものとか買ってきたもの食べてたわけじゃないわよね……?」
「いまそこで、
しれっと黙って飯食ってる夕帆が作ってた」
ばっと。
夕帆先輩の方へと、顔を向ける。そうすれば彼はどうやらわたしたちの会話を聞いていたらしく。
「バラしてんじゃねえよ」
チッと、隠すこともなく舌打ちした。
えええ。……なんでそんな嫌そうな顔なの。
「夕さんって、
料理できないって言ってませんでしたっけ?」
ピザ片手に、きょとんと首をかしげるルノ。
ルノがそうしてるだけで絵になるんだから大したものだ。さすが王宮学園のプリンス。
「コイツはできないんじゃなくてやらねえんだよ。
去年と一昨年は椛がいたから、黙っててもやり過ごせたしな」
そうだったのか。
なら自炊すればいいのに。……って、あれ?



