「なんか……忙しなくてごめんね」
元の席にもどってそう告げると同時に、みんなから形容しがたい表情を向けられる。
……なんだその困ったような顔は。
「お前も苦労してんだねえ」
しみじみと、つぶやく椛。
それに曖昧に笑ってしまうのは、お世辞にも"苦労してない"とは言えないからで。
「でも、成長してんじゃねーの?
……アイツ全然顔に出ねーだろ、疲れとか」
「うん、だから心配で……」
「それに気づけるようになったっつーことは、お前がアイツのことちゃんと気にかけてる証拠だろ。
……まあ、一緒に住んでんだから無茶な生活してたら嫌でも気づくだろうけどよ」
莉央がそう言ってくれたおかげで、肩の力がほんの少し抜けた。
ずっといつみ先輩のことを慕ってる莉央が言うんだから間違いない。
「んじゃ、気取り直して遊ぼうじゃねえの。
南々ちゃん、なんかしたいことねえの?」
「え、したいこと……?」
急に振られてぱちぱちと目を瞬かせるわたしに、みんな笑って。
途中でデリバリーの注文を済ませてから、その後もカードやら持ってきたらしいボードゲームやらを楽しんだ。そして。
「じゃあ会長、一言どーぞ」
「え。……ええ、っと。
生徒会長としてはまだまだ頼りないかもしれないけど、わたしの指名に応えてみんな生徒会役員になってくれてありがとう。1年間よろしくお願いします」
当たり障りのない一言を添えてから、みんなで乾杯する。
テーブルの上に広げられているのは、デリバリーで届けられた大量の食糧。



