わたしの中の夕帆先輩って、大抵誰かと喧嘩してるイメージだし。

いつみ先輩だったり、椛だったり、夕陽だったり。



……仲が良いんだから仲良くすれば良いのに。



「へえ……」



「まあでも、あいつの男勝りが裏目に出たな。

一回終わった男とは絶対付き合わねえよ、いくみは」



「いくみさんらしいですね……」



確かに彼女は、フッたフラれたに関わらずあっさり関係を終わらせてそうだし。

あれ?でも、それって万が一夕帆先輩と別れたりしたら、そこで終わっちゃうってことよね?



喧嘩して「別れる!」なんてどっちかが言っちゃったら終わるんじゃ、と。

そんなわたしの思考に気づいたかのように、不敵に口角を上げてみせた夕帆先輩は。




「そういう性格だけど。

もし俺と別れたら、いつまでも引きずるってよ」



「ノロケごちそうさまです」



なんだこの人。

絶対これが言いたかっただけでしょ……!?



しれっとノロケたかっただけに決まってる。

っていうか夕帆先輩はわたしとこういう話をするとき、ちょくちょくノロケを入れてくる。



だからわたしもそれに絆されるようにしてノロケてしまうことはあるけど。

さすがに恥ずかしいから、このメンツの中で言う気にはなれない。



もういいやババ抜きに集中しよう、と。

残り少なくなった手札に視線を落として、夕陽と反対隣に座っているルアの手札からまた1枚引いた。……あ、揃った。



「上がり」