わたしの言葉に、ふたりとも不思議そうな顔をして。
それから夕陽は、「いまさらすぎない?」と訝しげに眉間を寄せた。
その割には優しく綻んだ口元を見て、わたしの頰も思わず緩んでしまった。
呉羽も、そんなわたしたちに優しく笑ってから。
「こちらこそ、だよ。
生徒会役員に選んでくれてありがとう」
差し出された言葉に、泣きたくなってしまった。
転校してきたときには、夢にも思っていなかった平和な生活と。
王宮学園の絶対王者から任された生徒会は、形を保ったまま新たに夕陽と呉羽に引き継がれて。
「そういえば、リーダーが……
『呼ばれたら俺らいつでも行くから!今年の文化祭も出ようか!?』って言ってたよ」
その繋がりを、大切にしたい。
……何があっても、切れてしまわないように。
「ああ、うん。知ってる。
楽しいこと大好きなんだろうなって」
「撮影の休憩中に、近くでやってる祭りに顔出してくる!って遊びに行くからね。
まあ変装してるから実際には顔一切出てないけど」
ミナさんってたしかグループ内でいちばん年上なんじゃなかったっけ……
っていうか、そうだ。
「ミナさんって……
絶対いくみさんのこと、引きずってるわよね?」
ちろっと。
口に出してからこの話題はまずいだろうかと夕帆先輩を盗み見たけれど、彼は涼しい顔でコーヒーを啜っていた。
「いくみのブラコンっぷりとか我の強さとか、そういうのが原因で別れたけど……
そこを抜きに考えればいい女だから忘れられない、みたいに復縁を求められんの、今までに何回かあったみたいだし」
別に気にしてねえよ、と。
落ち着いた様子の彼を見て、そういえば夕帆先輩って年上だったな、なんていまさらなことを思う。



