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「ってことになったんだけど……
やっぱり呼んじゃ、だめ、よね?」
その日の晩。
いつみ先輩が夕飯前までまた忙しそうに仕事していたから、唯一手の空く夕飯時に尋ねてみれば。
「……別に良いぞ」
存外あっさりそんな返事がかえってきて、思わず手作りのチキン南蛮がお箸からぽろっと落ちた。
……え、いいの?
「ああ、何なら土曜日の歓迎会ウチでするか?」
「……もしかしていつみ先輩、
卒業してみんなに会えないのちょっと寂しい?」
「いや? 全然。
家に呼べば、お前が俺のもんだって何人かに分からせる良いチャンスだろ?」
な、っ……またこの人は……っ。
っていうか"全然"って言うのもどうなの。みんななんだかんだ言っていつみ先輩のこと好きなんだから、すこしは寂しがってあげれば良いのに。
「……そんなことしなくたって、
みんなそれについては理解してるわよ」
お皿の上に落ちたチキン南蛮を、お箸で掴み直す。
ちらりと先輩を盗み見ても、彼は至って平然としていて。甘いセリフにも、顔色一つ変えない。
「どうだか」
「………」
「気づいてねえだろうから言うけど、
その"何人か"の中にはお前も入ってるからな」
「……言われなくても、
自分が誰のものなのかくらいわかってます」



