8時55分発、那覇空港行き。
事前にいくみさんが予約を取ってくれた飛行機で旅立つと、フライト時間は約2時間50分。
何の問題もなく到着して、飛行機内で無意識に入っていた肩の力をおろした。
……もう何度も乗っているけれど、飛行機、苦手なんだと思う。
「沖縄……!」
空港内で既に漂う、ゆったりとした時間の流れ。
目を輝かせるいくみさんと、お互いに来るのははじめてだと話しながら。
「あ、あれじゃないですか?」
荷物を受け取りエントランスへ行くと、『八王子グループ送迎はこちら』の看板を掲げた男性がひとり。
歩み寄れば、「ようこそおいでくださいました」と屈託のない笑顔を見せてくれる。
どことなく、ルノやルアと雰囲気が似ているような気がする。
いくみさんが取り出したチケットを2枚、彼に見せると。彼ははっとしたような表情で、「大変失礼いたしました」と口にした。
「こちらVIP専用チケットとなりますので、専用の送迎車をご用意しております。
あちらの出口を出て左側、すぐに車の前で待っている男性社員がおりますので、そちらまでお願いできますか?」
VIPチケットだったのか、それ。
でもまあ、いくみさんも理事長からもらったって言ってたし。八王子家の社長が自ら渡してくれてる以上、マスコミや報道関係者とは別物らしい。
いくみさんに誘われて着いてきたわけだけど、嬉しいし有難い。
あとで理事長にお礼の連絡をしなくては、と思いながら、案内されたところへ向かうと、スーツ姿の男性が荷物を預かって車に誘導してくれた。
「早速ですが、送迎を担当させて頂きます御園と申します。
VIPチケットをお持ちということですので、ご連絡頂ければ本プラン中はいつでも送迎をご利用いただけます」
「あ、そうなんですね」
「ええ。では、当ホテルの方へ御案内致します。
チェックイン後にどこかへお出掛けでしたら、何なりとお申し付けください」
それだけ告げて、車を走らせる御園さん。
さっき案内してくれた彼もそうだったけれど、見た感じ御園さんも若そうだ。



