いくみの腕が、背中に回る。

受け入れてくれたのだと気づいて顔を寄せたら、いくみは眉間を寄せて。



「……出てったら、すぐに追い掛けなさいよ」



「、」



「あの状況で放置なんてありえない。

いくら行き先が分かってるからって、」



「……ごめん。でも、もう出ていかせねえよ」



まだ拗ねたような表情のいくみに、口づける。

そのままキスを深くして、抱きしめていた手で彼女のボディラインをなぞると、ぴくりと肩を揺らしたいくみが背中ではなく首裏に腕を回した。



「いい?」と聞けば、声もなく頷くいくみ。

抱き上げてベッドに連れていくと、彼女の視線に熱が孕んだ。




「……っん」



触れたところを、熱くさせる彼女。

漏れる吐息も声も、その表情でさえ俺を煽る。今まで散々聞かされてきた男たちにも同じような表情を見せたのかと思うと嫉妬が勝って、執拗なくらいにいくみを求めた。



「夕、もうむり、っ…待っ……」



「待てない」



腕の中で身を震わせる彼女を、愛おしいと思う。

掻き抱いて、終わりの無い感情の中で。



「……夕帆のばか」



ようやくいくみを解放したのは、連れ帰ってしばらく経ったあとのことだった。

日付もとうに変わって、彼女は恨めしそうに俺を見る。