椛はもともと割とストッパーになってくれるのに、夕帆先輩の時といい夕陽のときといい、誰かと絡むと途端にトラブルメーカーになる。
もういいや放っておこう、と。
騒がしさを横目に、ひとり仕事に集中していれば。
「じゃーもう行けばいいだろ」
莉央のそんな唐突な発言が自分に向けられていることに気づいて、顔を上げた。
……"行けばいい"?
「何の話?」
「あん?
お前といつみの住んでるマンションに押し掛けよーぜって話」
……いやいやいやいや。
なにその"いいこと思いつきました"みたいな顔。みんなもどうして"それでいいじゃん"みたいな顔してるの。
「絶対だめだから」
「え、ダメなんですか?」
「むしろなんで「いい」って言うと思ったの!?
わたしひとりならいいけど、いつみ先輩に迷惑がかかるからダメよ。仕事で忙しくしてるもの」
さっきから話が行ったり来たりしてややこしい。
……それに、彼が忙しいのは本当だ。
同じ部屋にいるのに、お互いにそれぞれ抱えている仕事をしているから無言、なんてこともよくあるし。
それでなくても、先輩が仕事しているときは気を遣う。
だというのに。
「とか言ってやましいことでもあったり〜?」



