激甘なウエディングバラード。

……こんなプレゼントを用意できるのは、俺だけ、でしょ?



「プロデューサーの評判もいいんだってね。

カップリングどころかA面で出したいって」



「やだよ。カップリングで丁度いいんだって」



誰かに見せたくて書いたわけじゃない。

ナナに聴いて欲しくて書いただけ。



これからもし誰かを好きになったとしても、ずっとずっと特別なのはナナだけだって言い切れる。

だから、そんな特別なナナよりも必要だって思う子が現れたら、そのときはもう離したりしない。



「……あのコが喜んでくれたらいいね」



さらりとリーダーが頭を撫でてくるから、また子ども扱いして、とため息をつく。

それでも投げかけられた言葉は優しくて、「そうだね」と小さく返した。




「何なら結婚式でこれ歌ってやろうかな」



「え、花嫁略奪しちゃうのナナちゃん」



「……冗談だから」



いつみと結婚して、笑ってるナナの顔が見たい。

花嫁姿……きっと、綺麗だと思うから。



「……ってかさ、これの発売日なんとかなんないの?

8月27日って俺への嫌がらせでしかないんだけど」



だから。

恋が叶わなかった男の話は、どうか忘れてよ。



【小ネタ1 『 Marry / Fate7 』】



歌詞に出てくる"運命の青いバラ"。

それによって"プロポーズは青いバラ"のブームが起こるのは、まだすこし先の未来の、話である。