生徒会メンツに彼女を無事保護したことを伝えれば、なんだかんだ言いつつも安堵していた。
いつみにも連絡を入れてみたけど、やっぱり繋がらなくて。
「……大丈夫だよ、南々瀬」
「……わかってる」
「その割には、落ち着かないって顔してる」
「……うるさい」
指輪をじっと見つめてソファの上で小さくなっていた彼女は、ずっと不安そうな顔のまま。
柴崎にちょっかいを掛けられて、冷たく返しているけど。
それにめげない柴崎を見ながら、ぼんやり思う。
……この男。まるで冗談みたいに振舞っているけれど、本当に、南々瀬ちゃんのこと好きだろ。
「そういえば。
南々瀬ちゃん、昨日コイツに手出されたりしてない?」
「……してません。
わたしそこまで軽くないですよ」
「知ってる。いつみに一途だもんね」
「……夕帆先輩もうるさいです」
守るために結婚しようと言ったいつみと、守られるために結婚しようと言った柴崎。
どちらも根底には彼女を心の底から大事に思っているという共通点があるから、皮肉なものだ。
「……帰ってきたら、
ちゃんと本人に好きだって言ってやれよ?」
あいつ拗ねてるだろうから、と。笑み混じりに言う俺を、彼女が恨めしそうに睨む。
そんなやり取りも、空白を埋めるための気休めでしかなくて。──結局。いつみからようやく連絡が入ったのは、19時を回った頃だった。