すごくポジティブ思考というか、博愛主義というか。
基本的に呉羽って心が広いわよね。わたしにはあの、変態という言葉以上に似合う言葉がない男を相手にする勇気はない。
「多少、愛情表現過多だけど……
南々先輩が気付いてないだけで、いっくんとか夕陽も、結構凄いよ?」
「……? そう?」
そうだっけ……?
別にいつみや夕陽に特別おかしなことはされてないけど、と、首をかしげるわたし。それとは対照的に、みんな思い当たる節があるようで。
「南々ちゃん、
前に夕陽に香水もらったって言ってなかったっけ〜?」
「香水贈るなんて、どう考えても独占欲ですよね。
俺は嫌ですよ、自分の彼女がほかの男からもらった香水つけてるなんて」
口々に飛び交う言葉を聞いて、そうなのかと気づく。普通に使ってるんだけど、もしかしていつみも不満だったりするんだろうか。
ああでも、家にいるときはあまり使わないし。いつみと出かけることも少ないから、彼の前で使う機会は少ない。
「いつみの場合は、
すごく、わかりやすいとおもうよ?」
「指輪なんて、独占欲でしかないと思うんだけどー。
俺の香水なんてかわいいもんじゃん」
言われて、今度は左手の薬指に視線を落とす。
今日も煌めきを失わないそれは、独占欲だと言われれば、たしかに効果はあったのかもしれない。
だって茉文が気にしてたし。
……それでめげる気はなさそうだったけど。
「愛情表現だと思えばかわいいものじゃないかな」
「……うん、なんかそんな気もしてきた」
わたしがいちいちオーバーに反応するから、向こうも面白がってやってくるのかもしれないし。
しれっとあしらってしまえば、茉文もあきらめるだろう、と。そう思っていたのに。



