一方的に、をヤケに強調して言えば、茉文はもう一度「ツレないな」とつぶやく。

ツレなくて構わないからさっさと帰ってほしい。っていうかもう帰ってくださいお願いします。



「というかあなた、学校で来てるんでしょう?

勝手に抜けてきてだいじょうぶなの?」



「ん?だいじょうぶじゃないね」



「はやく帰りなさい……!」



なんで平然と居座ってるの……!

さっきまで縛られてたから仕方ないけど、なにその「まあだいじょうぶでしょ」みたいな顔……!



「……ま、いいや。

大事になっても面倒だから、一回帰るよ。それじゃあまたあとでね、南々瀬」



ちゅ、と。

わたしの頬にキスを落として、茉文は予想以上にあっさりと帰っていった。……って、あれ?




「いまの浮気じゃないの?」



「同意じゃないから違うんじゃない?」



……わたしいま、キスされなかった?

くちびるじゃなかったけど、頬に、キスされて。



「っ、もう戻ってこなくていい……!!」



叫んだわたしを、「あーあ」とでも言いたげに見てくる生徒会の面々。

もうやだ。本当にもどってきてほしくない。



っていうか、頰にキスされたことがいつみに知れたら面倒なことになる。

かといって自分から切り出す勇気もないし。



「なんであんな面倒な男に……」