「美味しい?」



「ああ、美味いよ」



「ふふ、よかった」



いつも通りのやり取りを交わしてから、わたしも朝食を食べる。

学校から帰ってきて洗濯する時はそのまま乾燥機を使うのだけれど、今日はどうやら晴れらしい。



それなら、と。

朝食を終えてすぐに洗濯機のスイッチを入れ、まわしている間に食器洗いも済ませる。



彼と話をしながら学校の支度をして、家を出るギリギリに洗い終わった洗濯物をぱぱっとベランダに干して。

今日は夕飯が別々だから、帰ってきたら掃除機をかけよう。



なんて思いながら。

少々慌しい朝になってしまったけれど、玄関で靴を履いて彼を振り返った。




「いってきます」



「ん、いってらっしゃい」



背伸びして彼の首裏に一瞬腕を回してから、触れるだけのキス。

ふっと微笑み合ってちょっぴり惜しくなりながらもなんとかいつも通りの時間に家を出ると、学校に向かう。



その途中、今後のスケジュールを頭で練った。

わたしは今度両親とひさびさにご飯に行くけど、そのあともう一度いつみも一緒に結婚の話をしなきゃいけないだろうし。



いくみさんとも遊びに行くし、みさととも予定がある。

あとは、もうすでに知り合いではあるんだろうけど、両家の親同士も顔を合わせなきゃいけない。



しかも生徒会長で受験生のわたし。

今年は忙しくなりそうだなと思いながら、そうだ、ととあることを思い出す。



「南々瀬ちゃーん」