「折角行くのだから、少しでも長く一緒にいたいし、何か役に立ちたい…」


ここへ来る前、彼に電話でそう話し、今夜は彼が一人暮らしをしている部屋に泊まり、掃除や洗濯をさせて貰う事になっていた。



「あ〜でも、怪我してそのまま担ぎ込まれちゃったから、部屋ん中、汚いと思う」


頭を抱える彼に、ちょっと意地悪心が湧いた。

「じゃ、ありのままの普段の感じをじっくり見せて貰いますか」

「勘弁してよ〜」




そうして、翌日、帰りの新幹線に間に合うように、必要な物も用意してまた病院を訪れる約束をして、私は初めて彼の部屋に行った。

一人だったのが残念ではあるが、来た意味が少しでもできるのなら、嬉しいことだと思った。