だんだん、知っていく。


いろんな個性を持った人たちに囲まれた、“彼”の世界を。





「で、誰、そいつ」



あたしと雪乃という男子の様子を一部始終窺っていた稜という男子が、端的に本題を聞き直した。


不良たちが、あたしをジロジロ観察する。




「総長に用があるんだってさ」




あたしの代わりに遊馬が答えると、周りが静かにざわつき始める。




遊馬はバカね。



それは、「どうしてあたしがここにいるか」の答えだ。


稜という男子の質問からは、ずれてる。



あたしが一体誰なのか。

何者なのか。


稜という男子はソレを聞きたかっただろうに。




その答えは、至ってシンプル。


あたしは、“彼”の――。