番犬男子





遊馬は、灰色の髪の男子に近づきながら、言い返す。



「しょうがねぇだろ。いろいろあったんだよ」


「なんだよ、いろいろって」


「例えば……」


「あー、やっぱいいわ。興味ねぇし」


「はあ!?」



灰色の髪の男子は面倒くさそうに、あくびをひとつ漏らした。


その態度に、遊馬がため息を吐く。



「稜【ロウ】が聞いてきたんだろうが」


「ノリで聞いただけ」


「どんなノリだよそれ!」




稜と呼ばれた、灰色の髪の男子も遊馬や幸汰と同じで、モデル顔負けのルックスだった。



両耳に2つずつ付いてるピアス。


前髪を左に寄せて隠されている左目とは裏腹に、丸メガネ越しに見せている右目。


後ろでちょこんと結っている、灰色に染まる髪。



全体的に気だるそうな雰囲気が、稜という男子を纏っている。