番犬男子








空気が張り詰めていく。




しばらくの間、静寂が続いた。



あたしが、双雷に行こうとしているだけでなく、総長に会いたいって言ったせいだ。


暴走族に関わることは、それほど危険なのかもしれない。




それでも、あたしは。


どうしても、“彼”に会いたい。


会わなくちゃいけないんだ。



会えるのなら、どれだけ危険だって構わない。





「……行くぞ」



静寂を無機質に遮断したのは、遊馬だった。


入り組んだ道を進んでいく。



背中越しに伝わる2人の警戒心が、あたしを突き刺しかけていた。




より一層怪しまれ、窮屈な思いをしながら、2人についていく。


先ほど通った道とまるっきり同じすぎて、引き返した自分に呆れた。