番犬男子





あー、羨ましい!俺もかっけー異名が欲しいぜ。


誰かつけてくんねぇかな。いっそ自分でつけちまうか。




「敵か味方か、はっきりさせねぇと、だな」


「情報収集もろくにできねぇんじゃ、本人に直接確かめるしかねぇしな。近くの公園とかにでも呼び出すか?」


「それなら、セイちゃんがいないほうが、本心が聞けると思うわよ」



そうだな。

兄かもしれない誠一郎がいたんじゃ、会話もまともに進まねぇ可能性もあるし。



「じゃあ明日にでも、風都千果が何者かを、総長以外のみんなではっきりさせに行きますか?」



未だに番犬の色が消えない幸汰の意見に、俺ら3人は頷いた。



できるだけ早いほうがいい。


もし、本当に誠一郎の妹ってのが嘘で、双雷を騙そうとしているなら、うかうかしてられない。



騙された後じゃ、遅いんだ。


何もかも失ってしまう前に、あらゆる最悪の未来を想定しながら動かなければ。




俺は、もう、大切なものを失いたくない。