番犬男子





天才少女、か。



さっき見せてもらった記事でも、難しくてわからねぇ部分も多かったけど、風都千果が俺とは違う人間だってことは、痛ぇくらい伝わってきた。


誰もが認めるその賢さが、あいつの強み。



あの力があったからこそ、強盗犯にも怯むことなく立ち向かえたのかもしれねぇな。


だからって、あいつを誠一郎の妹と信じられるわけでも、怪しさが消えるわけでもないんだけどさ。




「風都千果……危険だな」


「あらあら、番犬の顔になっちゃってるわよ?落ち着いて」



据わっていく金色の猫目が、雪乃の淡泊な笑みでハッとなる。



「す、すみません!」


「ふふっ、いいのよ。危険視しているのは、コウちゃんだけじゃないもの」



誠一郎絡みだと、番犬の出現率が高くなるのには、もう慣れた。



憧れがぶくぶくに膨れ上がって、影を纏ってしまった、裏の顔――番犬。


双雷の始末屋として名が知れていったのは、いつ頃からだっけか。



慣れた今では、可愛いもんだ。